2008年4月20日日曜日

山荘の孤独な住人

 父、太郎には友達がいない。
 まず、電話がかかってくることがない。家の電話にも、携帯にもかかっては来ない。すくなくとも、かかってきたことを見たことがない。携帯なんか持っている意味がないと思うけれど、受けるのではなく、かけるには必要らしい。最近は、電話ボックスが少なくなったから。電話も来ないし、手紙も来ない。ましてや、友達が尋ねてきたこともない。なんと、一度も見たことがないのだ。
 「友達いないの?」とたずねてみると、「いないよ」と答える。
 太郎曰く、孤独に強い体質なんだそうだ。友達もいない上、テレビもみないし、ラジオも、たまに車に乗ったときしか聞かないようだ。少々、インターネットで情報収集することがあるようだけれど、それも、使うのは、休みの日くらいだ。そんなわけで、世間にも疎いのではないかと思うのだけれでも、案外そうでもない。太郎曰く、若いときに勉強しておけば、世の中はそんなに変わるものではないから、大丈夫なんだらしい。まあ、一応、生活できているから、あながち、あたっていないわけではないのかもしれない。
 太郎は、流行には無頓着、収集しているものも、これといってない。質素で簡単で単純でめんどくさくないことがいいとおもっているらしい。だから、きるものも寝巻きと普段着とお出かけ用の3パターンだ。もっとも、お出かけ用は、季節によってや用事によってやはり3パターンくらいある。そのパターンの姿は、ここ数年、変わっていない。太郎曰く、モノを大切にすることは良いことだという。
 ずっとこんな生活に、最近は感化されつつある。美樹も、都会の人の多さ、人混みがいやになってきている。
 

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