2008年4月13日日曜日

白髪鬼

 父、太郎は、髪が白である。数年前は、髪を染めていたが、数ヶ月に一度程度、染めるだけだったので、白、黒、茶の三色であった。けれども、此処のところ、染めもせず、ほとんど白髪となっている。白くなっているので、人ごみの中で、探すのには重宝する。
 本人曰く、背は、170cm2、体重は、63kgである。数年前は、一時期、80kg近くあったらしいが、ダイエットして、半年で、20kgくらい減量に成功した。食べる量を減らして、独自の体操をして、体重を毎日、グラフにつけ、減っていく推移を楽しんでいたら、標準体重に落ち着いたらしい。
 本人曰く、会社に入社したときの背広が着れるようになったぞ、と威張っていた。
 まあ、一度決めたなら、とことん、本人が満足するまで、実行するという性格の持ち主である。だから、博士などという称号をもっていたりするのだ。博士といっても、医者ではなく、理学博士というものらしい。
 父は、数年前までは、某大手化学メーカーの研究所で働いていてたようだが、此処のところ、東京への勤務に変わったようで、遠くなったぶん、平日は、朝早くに出かけている。名刺も、二つ持っていた。問いただしてみると、二つの会社に籍があるなどという、そんなことってあるのか?
 休日は、あやしい本を、執筆をしたりするが、執筆は、あくまでも趣味の領域らしい。本人曰く、趣味だから、自由気ままに、好きなことを書くことができる、という。でも、まあ、二つ目の仕事にカウントしてしまおう。
 しかも、たまにではあるが、それ以外にも、「仕事」といって、なにやら、出かけたりする。地元の会社から、なにやら、届け物が届いたり、電話や、FAXがあったりする。このへんは、あやしい! どうも、三つ目の仕事があるようなのだが、休日に何の仕事をしているのだ?
 しかも、最近、本人曰く、今度、秋には、大学で、講師をすることとなった、という。四つ目の仕事のようだが、ますます、あやしい! げっ、いったい、何を教えるというのだ?
 父、太郎は、幾つもの顔があるようで、なにかと、得体の知れないところがあるのである。

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