2008年11月22日土曜日

壊れるとき

 父、太郎は、このところ、難しい顔をしている。
 ”ちょっとしたこと”で、物事は壊れるという。
 一つの歯車が壊れたなら、すぐに直さないといけないという。
 そのまま放置すれば、その壊れた歯車のみならず、全部が壊れてしまうという。
 ”癌”が発見されたなら、すぐに削除しなければならないという。
 そのまま放置すれば、やがて、体中に癌が転移し、死ぬのだという。
 日本は、おかしいことをおかしいと認識しても、そのまま手立てを打たない国であるという。その結果、全体がおかしくなる。
 全体がおかしくなるとき、その前に、一部を助ける機能をもってはいる。
 それは、おかしくなった部位ごと切断する機能である。
 確かに、そのおかしくなった部位を切断することで、残りは助かる。けれども、その切断した機能は、取り戻すことは出来ない。

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